千葉県いすみ市 「木戸泉」
農薬はもちろん、有機肥料すら使わない自然農法で作った米でお酒を作る蔵元は日本にわずか3軒しかありません。
そのうちの一軒が「五人娘」でマザーズでもおなじみの千葉県香取郡の「寺田本家」。もう1軒は福島県に。そして今回、残る1軒の蔵元と顔の見える関係を作ることができました。それが千葉県いすみ市の蔵元「木戸泉」です。
実は添加物だらけの日本酒日本酒は元来米、米麹、水だけで作られたとってもピュアなものでした。しかし、第二次世界大戦中、兵士の士気を高めるために多くの酒を作る必要があったのですが、原料の米の供給が足らず、アルコールを添加してかさを増やすという方法をあみ出したのが始まりです。
その後終戦近くになると米不足という状況も手伝い、日本全国でアルコールを30%も添加する日本酒が広く作られるようになりました。
戦後はさらにブドウ糖・水飴・コハク酸・乳酸、グルタミン酸ソーダなど、アルコール添加で落ちてしまう香りや風味を取り繕うためのさまざまな添加物が使用されています。ところが添加物の表示義務も曖昧で、表示義務のない添加物が沢山存在するのです。日本酒が「悪酔いをする」「美味しくない」というイメージになってしまったのは、こういった戦後の量産体制の結果です。
旨き良き酒の追求〜木戸泉の挑戦〜昭和30年頃、日本酒の保存料として添加されていたサリチル酸の毒性にいち早く気がつき、保存料の添加をやめ、独自の酒母づくりを開発したのがこの木戸泉という千葉県の酒蔵です。
さまざまな試行錯誤の末、「高温山廃モト」という醸造法にたどりつきました。天然の生の乳酸菌を使い高温で酒母を仕込む方法で、薬品の乳酸添加や調味薬品類を一切使用せずに量産できる(手の届く価格にできる)よう、温度を緻密に管理することで酒造りに良い菌だけを効率的に残す方法です。三原菌(麹菌、乳酸菌、酵母菌)がのびのびと発酵し、本当に美味しいお酒が生まれます。
モットーである「旨き良き酒」をさらに追求するため、昭和42年には原料となるお米にもこだわり、農薬や化学肥料を使わないお米を原料にしたお酒の製造がスタートしました。そうして生まれたのが「自然舞」というお酒。農薬はもちろん有機肥料すらまったく使わない自然農法で栽培されたお米で作ったお酒です。
「農薬を入れてしまった田んぼと自然農法の田んぼは、田植えの時にすぐにわかります。農薬を入れてしまっている田んぼは、何というか、土が硬くて冷たいんでが、自然農法のたんぼはすごく柔らかくて暖かい。田植えをしていくうちにどんどん身体が温まってくる感じなんですよ」
木戸泉の代表の荘司さんは自ら米作りなども経験したことのあり、「土を語れる」醸造家です。そして、マザーズ通信4号で紹介した北海道の秋場さんの義理のお兄様でもあります。
信念の繋がりが人と人の繋がりを生み、さらに大きな力になっていることを感じずにはいられません。
本当に美味しいお酒そんな木戸泉のお酒は従来のイメージを覆す、本当に美味しいお酒です。土と太陽の恵みいっぱいの野菜が美味しいように、お酒もその味は格別です。
深い味わいとコク、芳醇な香りが口いっぱいに広がり、喉越しがとてもクリアで爽やか。身体にすーっと染み込むようなピュアなお酒です。この美味しさと、ホワっと包まれるような酔いの感覚は、添加物だらけのお酒とは明らかに違います。
「日本酒の愛好家のグループの人が、『木戸泉のお酒はどんなに飲んでも二日酔いしない。なぜですか?』と、蔵を訪ねてきたことがありました。科学的なことは実証されてはいませんが、確かに私たちのお酒を飲んでも二日酔いにならないという声は本当に多くいただきます」と荘司さん。
マザーズでは2011年の冬のギフトカタログでご紹介させていただいてからは藤が丘店と小学館すずらん通り店で扱っていますが、ジワジワとファンが増えています。お酒が好きな方への贈答品としてもオススメです。日本の風土で古来から伝わってきたお酒。木戸泉のお酒で本来の美味しさを是非味わってみませんか。
木戸泉のお酒ができるまで
(1)朝6時、朝一番の仕事です。ここは麹米を一昼夜寝かす床の部屋。室内は30度以上の高温となるため、蔵人たちは服をぬいで作業をします。一昼夜寝かせたあとの麹米の様子を丁寧にチェックし、まぜているところです。一昼夜寝かせているあいだ、中央と端で発酵の進み具合が変わっていたりするので、よくまぜあわせて均一にします。米が酒になっていくための大切な部屋。今日は特別に入らせてもらいました。この作業のあとは、隣の「棚の部屋」に移され、さらに一昼夜寝かされます。

(2)大きな木の桶のような釜で米を蒸します。いま、この大きさの桶は直せる職人さんがほとんどいないそう。木戸泉でも70代の職人さんにお願いしており、その人がいなくなったら直せなくなってしまうそうです。この桶の下には大きな鍋があってぐらぐらと湯が沸いています。ここにこれから洗ったお米を入れ、蒸し上げます。この工程を「蒸し米をつくる」と言います。この蒸し方も大切な酒づくりのポイント。木戸泉の味がここでも作られています。

(3)酒づくりは朝6時から1時間、そのあと蔵人みんなで朝食を食べて、8時からまた1時間。冬の朝の寒い時間に行います。もうすこしで陽がが昇る時間。奥に見えるのは木戸泉の蔵の門。まあるく見えるのは、年に一度、木戸泉のファンユーザーが集まって作っている杉玉です。直径はなんと180cm!今年もおいしいお酒がつくれますように。毎年11月27日頃に作ります。

(4)いまはガスでお湯を沸かして米を蒸していますが、以前は石炭で窯を焚いていました。その頃の煙突です。今は使っていませんが、当時はここからもくもくと煙が出ていたのでしょうね。そろそろ朝日が昇って来ました。いまちょうど蔵人たちは朝ごはんを食べてからの休憩時間。もうすぐお米が蒸しあがります。

(5)さあ、お米が蒸しあがりました!蒸しあがったお米は重いので、小型のクレーンで持ち上げ、隣に設置した作業場に移動します。屋根は二重構造になっていて、上の屋根と下の屋根のあいだは大きく隙間があいて直接外につながる作りになっています。ここから、蒸した蒸気がうまく逃げていきます。そして雨は入らないように。うまくできていますね。

(6)クレーンで吊るされたネットは、下があいていて、そこから蒸し米が下に落ちます。米は熱いですが、室温は冬の外気そのままの寒さ。蒸しあがったらはやく米の温度を下げて、適温の32度くらいまで持っていきます。酒づくりは温度管理がとても重要で、この工程もそのひとつ。温度管理をしやすくするため、この寒い冬場に酒づくりを行うのですね。

(7)あっというまに米の温度が下がり、ここで麹菌をつけ、全体にまんべんなく行き渡らせます。全身の力を使って、すみずみまですばやくまぜ合わせる作業。この作業のあいだ、室内には冷却器のぶおーんという大きな音だけがしていて、誰も口を開かず全員集中です!

(8)手に持っている箱に注目!ここに麹菌が入っていて米にふりかけています。

(9)ぱらぱらにうまく蒸しあがりました!今日蒸したお米は総の舞という房総地方で栽培される酒米だそう。食べてみると、芯はないけれどもぷちぷちと歯ごたえがあり、ごはんで食べているお米とはまったくちがう食感。おいしさはこれからじっくり時間をかけてお酒になってから発揮されるんですね。

(10) 麹米は、床の部屋に運ばれ、盛り上げて一昼夜大切に寝かされます。ふたりで一組になって、注意深く念入りに丁寧にかけます。麹菌が米を餌にしてゆっくりと育つ大切な立ち上がりの時間。この丸い山の中でじわじわと発酵してくれますように、お祈りする儀式のような作業です・・・!ちなみに、布はさらっとした生地を数枚かけたあと、毛布のような布も。酒づくりってこんなにたくさんの布を使うなんて、びっくりでした。
見学を終えて・・・
この日、見学したのは麹となる蒸米をつくる工程。ひとつひとつの作業はすべて、麹菌が元気に育ってくれるために計算され、蔵人の人たちはまるで麹菌のことばに耳をすましているようでした。このほかに、仕込み用の蒸米、酒母用の蒸米をつくり、それらをあわせて仕込みの工程に進みます。さて、このあと8日間の仕込みを終えて、醪(もろみ)となってから21日間の熟成期間を終えると、搾り→原酒ができる→ろ過→火入れ→貯蔵(調合)→瓶詰めの工程を経て、マザーズのお店に並びます!今年のお酒が今もゆっくりと育っているのを楽しみにしつつ、おいしいお酒をお楽しみくださいね!(たぐち)
自然舞1.8L 2,680円
720ml 1,480円
300ml 580円
無農薬・無化学肥料はもちろん、堆肥も動物性ではなく植物性のものしか使用しないで土のもつ本来の力を充分に発揮した自然農法で育てられたお米を原料に使用した純米酒。
昭和42年からの取り組みいち早くから原料に対するこだわりをもち自然農法米による純米酒造りを手がけてきました。先代の強い意思を受け継いできたお酒です。 精米歩合/67% アルコール度数 16.5%
木戸泉合鴨農法自然舞720ml 1,380円
木戸泉の地元、いすみ市の田んぼで合鴨農法で育ったお米を原料に使いました。「自然舞」とセットにしたギフトが昨年の冬ギフトでも人気でした。 精米歩合/67%以下 アルコール度/16.5度
posted by 広報スタッフ at 22:39|
作るひと
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